会話型AIの意義

会話型AIとは

本書では、人間が話しかけた言葉に対してAIが自動で応答するシステムを「会話型AI」と総称しています。

似たような表現として、下記があります。

  • 「対話システム」
  • 「対話AI」
  • 「Conversational AI」

miiboは、人間の発話に対してAIが自動応答するための様々機能を提供します。また、必ずしも話しかける側は人間であるとも限りません。AIがAIに話しかけて自動で業務を遂行することも想定されます。会話型AIの扱う範囲は非常に広義になりつつあります。

代表的な活用例といえば「チャットボット」が有名です。カスタマーサポートの自動化など身の回りでチャットボットに触れる機会も増えてきているのではないでしょうか。


会話型AIの意義とは

会話型AI構築の方法をご紹介する前に、会話型AI開発の意義をご説明させてください。

会話型AIの一番重要なポイントは、「会話」は人類がもっとも長く慣れ親しんだ、「強力なコミュニケーションインターフェース」であるということです。人間は今まで様々な方法でコンピュータとコミュニケーションを図ってきました。キーボードやマウス、音声入力、スマートフォンのタッチ操作など、そのインターフェースは様々な変遷を辿ってきたわけです。

人間同士で古代から培ってきた「会話」というインターフェースは、利用者を限定せずシームレスに情報交換ができる洗練された方法です。それを人間とAI間に適用できることは、様々なIT技術を駆使したプロダクトが提供できる対象を拡大することにつながります。「デジタル・ディバイド」の解消もその恩恵の一つでしょう。AIの技術進歩は凄まじく、様々な問題を解決するポテンシャルを秘めています。しかし、コミュニケーションインターフェースが限定されると、せっかくのAI技術の恩恵も限定されてしまっていました。AI技術の恩恵を多くの人が享受しやすくなるためには、会話型AIの普及が不可欠です。

これまで人間同等の自然な会話コミュニケーションを行うためには、高度な技術が必要でした。しかし、昨今の生成AIの盛り上がりを見ると明らかなように、これからものすごいスピードで普及していくのは間違いありません。

「チャットボット」と表記しない理由

少々余談になりますが、本書で紹介する内容のアウトプットは「チャットボット」が大きな割合を占めます。それでも「チャットボット」ではなく「会話型AI」とわざわざ表記しているのは、ボイスボットやロボットなど文字コミュニケーションに閉じない範囲に応用できるという含みを持たせたい意図があります。チャットボットでの紹介が多くはなりますが、その他のユーザーインターフェースについても言及をしていきます。

2024年以降のAI領域は「マルチモーダルAI」の普及が加速します。チャットボットという既存のメッセージングUIにとらわれず、会話型AIの柔軟な活用に目を向けていくべきです。miiboも「マルチモーダルAI」の開発を行うプロダクトとしての進化を常に目指しています。